プリンタおよび複写機の回転部には、様々な軸受が使用されています。従来、滑り軸受よりも回転精度、低トルク性、耐久性に優れる転がり軸受が使用されてきました。焼結含油軸受は転がり軸受よりも低価格ですが、潤滑状態が境界潤滑であるため、プリンタや複写機で多く用いられているアルミやニッケルめっきなどの軟質軸の場合、軸を摩耗させてしまう問題がありました。
これらの問題を解決するため、焼結金属の内径面に、低摩擦で摺動性に優れる樹脂をインサート成形した複合型軸受が使用されています。焼結軸受の高精度加工性と、気孔部に樹脂が入り込むことによるアンカー効果で強固な結合が得られるなど、焼結軸受の特長を活かした高機能軸受です。
レーザービームプリンタなどに使用されるポリゴンスキャナモータは、軸径φ2~φ3で、数万min-1の高速で回転しています。また、印刷品質に影響するため、高い回転精度が要求されます。
高速・高回転精度を満足するため、近年では動圧軸受が採用されており、焼結含油軸受を使用したタイプもあります。動圧軸受は内径面に魚の骨(へリングボーン)のような形状の動圧溝が形成された軸受であり、軸の回転に伴い、この動圧溝の効果により高められた油膜圧力によって回転軸を支持するものです。この高い油膜圧力が軸受すきま内全体に発生するため、軸と軸受が非接触となり、高い回転精度、静音性、信頼性を得ることができます。