工業会賞のご紹介
工業会賞は、1979年度に粉末冶金工業普及事業の一環として創設され、2023年度で45回目になります。
工業会賞は、工業会事業に貢献された方を表彰する「業界功労賞」と優れた粉末冶金製品を表彰する「新製品賞」、優れた原料粉末を表彰する「原料賞」、優れた製造設備を表彰する「設備開発賞」に分かれています。「新製品賞」は、さらに「デザイン部門」、「材質部門」、「製法開発部門」に分けて審査され、2003年度から、選考委員会で特に優れた受賞案件とされたものに「工業会大賞」を授与しています。
また、賞の対象にならなかった応募の中から、特徴のあるものを「奨励賞」として表彰しています。
2023年度
高周波&高強度リアクトルコアの実用化
- 株式会社ファインシンター
- 大同特殊鋼株式会社
- 従来の課題を打ち破る新材質を開発し、特性を大きく向上させることで、製品サイズを約30%小型化、ユニット体積を13%抑制した点が高く評価されました。また、製造工程の随所に改善を重ね、製品コストを約30%抑制したことも高く評価されました。今後も増加が見込まれる電動システムへの水平展開が期待される製品です。
新機構セミアクティブサスペンション用高精度部品の開発
- 株式会社ファインシンター
- 他工法では実現困難な複雑且つ高精度の組み合わせ部品を高い技術力で実現しており、厳しい機能要求を満足させると共にコストを抑制した点が高く評価されました。車両の電動化が進んでも需要が見込まれる製品であり、類似製品への技術展開が期待されています。
高速回転下での低摺動ロスを実現したCPAP機器用含油軸受ユニット
- ポーライト株式会社
- 中逃げ形状やディンプル付与、材質・含浸油の検討に加え、焼結シールキャップの提案など、様々な技術を融合し、ユーザーの要求にこたえた点が高く評価されました。また、医療業界における新機器への採用であり社会貢献度の高い技術として今後の市場拡大が期待されます。
長尺/異形の可変容量型ベーンポンプ部品の開発
- 住友電気工業株式会社
- 応力集中の高いサイドコアをダイに二重焼き嵌めした新技術の開発、長尺/異形で有りながら高精度の製品を実現した点、また金型設計における基準点を複数とるなど独創的な着眼点で課題を解決した点が評価されました。大型且つ長尺アイテムの高精度化に向けた水平展開が期待されます。
粉末冶金用アルミニウム青銅粉
- 福田金属箔粉工業株式会社
- これまで実用化が難しいとされてきたアルミニウム青銅の焼結を量産性も持たせて実現し、粉末冶金の材料に新たな選択肢を広げたことが大きく評価されました。新材質の登場により、過去に実用化実績のない新たな分野・用途への採用が期待されます。
電気自動車向けパーキング部品の焼結化
- 住友電気工業株式会社
- 車の基本動作(走る、曲がる、止まる)の「止まる」に貢献する開発として、高機能を維持しつつもコストを大きく抑制した点が評価されました。また顧客とのコミュニケーションを密にし、量産化につなげた姿勢も高く評価されました。今後も需要の拡大が期待される製品に対するコスト抑制技術として幅広く採用が期待される製品です。
密度勾配付与により耐摩耗性に優れる焼結含油軸受
- ポーライト株式会社
- 工程間における製品形状の最適化により、軸受内部に密度傾斜を設けると主に製品強度の向上や毛細管力によるオイル供給システムを構築した技術が高く評価されました。サーマルマネージメント部品としての採用は今後の市場拡大が期待されます。